そろばん



 日本ガイシ株式会社
   代表取締役社長 柴田 昌治

 昔は、読み・書き・そろばんが学習の中心であった。そろばんは素晴らしい実用計算機で、学校教育の中でもっと重視されても良いと思う。
塾には全く無縁の私も、そろばん塾には通った。そのお陰で五〜六ケタの加減乗除は今でも暗算でできるので、資料の数字の間違いなどはすぐに気がつく。
米国にいた時、私の子供もそれでずいぶんと得をしたようだ。算数の時間に足し算の競争をした際、指を動かしながらあっと言う間に答えを出すから、現地の子供とは勝負にならず先生から不思議がられた。最近ではカリフォルニアの公立学校はじめ、世界の各国でそろばんを教えるところが増えてきている。

今やだれでも海外旅行に行く時代。為替の両替程度は暗算でできるようにしておきたい。機械に頼り過ぎると、人間が本来持っている能力が低下して来る。記憶力にしても同じで、短縮ダイヤルに慣れてしまうと、いざ外で電話をかけようとしても番号を思い出せず、メモに頼らざるを得なくなる。 愛知県東海市で外科病院を経営している先輩の服部義則さんは、今でも百以上の電話番号を暗記されている。もともと記憶力の差もあろうが、短縮ダイヤルなど使わずにきちんと番号を押してかけては覚えておられるのであろう。

そろばんを習った人は、暗算する時にそろばんを頭の中に映像としてとらえて計算する。囲碁の棋譜を並べる時も同じだ。ある程度強くなると自分が打った棋譜ばかりか過去の名勝負でも何でも、簡単に並べ直すことができるようになる。要するに、一つ一つ理屈で覚えるのではなく映像として記憶するので、大量の情報も容易に格納することができるのである。 そろばんを習い、暗算のトレ−ニングをすれば、同時に記憶力の向上にも役立つ。

せっかく昔の人が便利で良い道具を発明してくれたのだ。電卓に頼らないで、そろばんの良さをもう一度見直したい。

せっかく昔の人が便利で良い道具を発明してくれたのだ。電卓に頼らないで、そろばんの良さをもう一度見直したい。


©1998 Tomoe Soroban