イマージョンプログラム
そろばんイマージョンプログラム
平成14年度から新学習指導要領が実施されています。この新指導要領の目玉は「総合的な学習の時間」の創設ですが、一方では主要教科の時間が削減され、「学力の低下」が問題視されています。
そこで今回は、英語でそろばんを教える「そろばんイマージョンプログラム」について取り上げてみたいと思います。 この「そろばんイマージョンプログラム」は子供たちの英数字教育において大きな可能性を秘めています。
これを「総合的な学習の時間」にあてることで、基本的な計算能力の補完はもちろん、英語を通して国際理解にも繋がっていくでしょう。
イマージョン教育とは
イマージョン教育とは1965年にカナダで始まった外国語教授法の一つであり、イマージョン(どっぷり浸る)という言葉が表す通り、没入教育とも訳されています。
つまり「英語を教える」のではなく、「英語で教える」ということが中心となります。
日本ではこのイマージョン教育の実施校として静岡県沼津市の加藤学園が有名です。
そろばんイマージョンプログラム
そろばんイマージョンプログラムでは
日常生活に英語が氾濫している今の日本では、小学校低学年の子ども達でさえ自然と1から10までの数を英語で覚えています。少なくとも、「ワン、ツー、スリー」までは言える子どもが殆どでしょう。英語で数唱するだけで教室は楽しい雰囲気に包まれ、さらに英語に対して期待度の大きな子ども達は「その次はなんて言うの?」と尋ねてきます。
現場の先生方も英語はお得意でなくても、「1から100まで英語で数えなさい」と言われて、言えないと尻込みされる先生はいらっしゃらないと思います。通常イマージョンで問題になるのは、説明している言語(今回の場合は英語)そのものへの理解に欠けているのか、教えられている教科(今回はそろばん)への理解が欠けているのかわかりづらいことが上げられます。しかしながら、このそろばんイマージョンプログラムでは「そろばん」という道具を使うため、英語への理解が不足しているのか、あるいはそろばんがわかっていないか、教える側にとって状況を把握するのが容易であると言えます。
1から10までの英数字だけをとってみても、英語の基本的な発音であるf,th,n,v,tなどの音を含んでいるため、英語の初級学習としても最適と思われます。また、比較的英語の上手な人でも英数字の聞き取りは難しいとされていますが、このイマージョンプログラムでは、英数字の聞き取りを読上算として実施するため、英数字教育の土台作りの役目も期待できると言えるでしょう。
そろばんは十進法位取り記数法に準ずるため、数の成り立ちや補数の感覚を養うことができます。また、このプログラムを低学年で導入すると、珠を具体的に見て弾くことから、ナンバーセンスの育成、算数教育の強化にも繋がります。
このそろばんイマージョンプログラムの目的は、そろばんという日本古来の伝統の道具を使って英語に親しむことです。楽しく学ぶことが第一。そして、たまに訪問してくれるネイティブスピーカーに頼んで、英数字を読み上げてもらうことにより、一層内容の濃いものになるのです。東南アジアの国々では必修として、そしていまやアメリカでも一部の学校でそろばんを算数教育として取り上げているところもあります。数字はユニバーサルな言語です。そろばんという道具を使って、世界の子ども達とコミュニケーションを取れる日も遠くないかもしれません。